耐火金庫って、もし火事があったらその後ちゃんと開くのかな

私の両親はずっと神奈川県の海沿いにあるリゾート地に家を構えて住んでいたのだが、震災を機に引っ越すことになった。色々調べた結果、海から車で30分ほどの場所に位置する高台の土地に家を建てることになったそうだ。そこは地盤が固いことで有名らしく、都内有数のお金持ちがわざわざそこに家を建てるほど、地震に関しては信頼の厚い土地らしい。ちょうどその地域の一角の土地が売り出されることになったので、即決で購入を決めたそうだ。海沿いのリゾートで悠悠自適な余生を送るのだとばかり思っていたのだが、人生はわからないものだとつくづく感じる。

ところが住み始めてわかったことがあった。高台にあるので当たり前といえば当たり前なのだけど、その地域はとても風が強いということだ。海沿いに住んでいたときもそれなりに海風は強い日もあったけれど、その比じゃないくらいの風で、台風なんか来た日には海から流れてくる南風でその地域のあちこちの家であらゆるものが飛ぶそうだ。せっかく津波の脅威から逃れてきたというのに…今の日本には災害から完全に逃れられる場所なんてないのかもしれない。

そんなわけで、今度は今まで以上に火事に警戒しなくてはならなくなった。今まで使用していた金庫は防犯性には優れていたものの、耐火金庫ではなかったので、それも買い替えることになった。とりあえず家が焼けたとしても、残っている財産があればどうにかできる。だけど両親の話を聞きながら、私は「待てよ?」と思った。耐火金庫って、もし家事にあったらその後ちゃんと開くのだろうか。たとえ中身が無事なんだとしても、外側にあるカギなんて完全に使用不可能になっているはずだ。そうなった場合、どうするんだろう?工具かなんかで自力でこじ開けられるものなんだろうか。

私は両親に家事にあった場合の金庫の開け方もちゃんと聞いておくように、と忠告し、家路についたのだった。